Q.組替調整、リサイクリングは何をしているのか?
- okaikeikochira
- 2021年6月24日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年8月10日
Q.組替調整を行うことで二重計上を防ぐことができているのか?
Q.期中取得・期中売却の場合も組替調整するのか?
これらの質問に回答致します。
なお、私見が含まれている点、ご了承ください。
〈参考基準〉IFRSについては後日更新予定
「包括利益の表示に関する会計基準」
IFRS9「金融商品」
A.PLとCI注記(組替調整額注記)を組み合わせて見ることで、PL又はOCIのいずれかでしか利益を計上していないこととなります。 (二重計上を防ぐというのはこのことです。)
・「組替調整額」とは、当期純利益を構成する項目のうち、当期又は過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部分をいいます。(9項)
純利益,包括利益のいずれも広い意味では同じ利益ですので,例えば,一旦その他の包括利益に計上したものを,その後純利益に計上するといった会計処理を行った場合,利益を二重計上していると考えられます。
この点,日本基準では,時価のある有価証券に関する取得原価と時価との差額は、その他有価証券評価差額金の増減として、その他の包括利益を構成します。一方、その有価証券を売却した際には、売却時点の時価と取得原価との差額が売却損益として当期純利益を構成することになります。
つまり、このような場合には、当期純利益に当期又は過去にその他の包括利益に含まれていた金額が含まれることとなり、前期以前のその他の包括利益と当期の当期純利益による包括利益における二重計上が生じることとなります。この二重計上を避けるための調整が、組替調整です。
・そもそも,包括利益、組替調整はIFRSから輸入してきた会計ルールですので、IFRSの考え方や会計処理に触れない限り、この論点は理解し難いでしょう。ですので,その他有価証券を例にIFRSでの会計処理をまず押さえていきます。
・IFRSでは,その他有価証券の取得当初からPL計上(純利益)するか、OCI計上(包括利益)するかを決め、基本的にはどちらかの利益でしか認識しないことになります。(リサイクリング禁止,SPPIテスト,ビジネスモデルテスト,FVPLやFVOCIといったワードを検索すると様々な記事がヒットします。)
例えば、その他有価証券についてOCIで利益を認識することとした場合,IFRSでは評価損益はもちろん、評価減、償却原価、売却損益も全てOCIで認識します。(IFRS適用企業の有報では「累積その他の包括利益」という表示科目を用いているようでした。)
一方,日本基準では、評価損益のみOCI(その他有価証券評価差額金)で、評価減,売却損益、償却原価はPLですよね。
このように,日本基準とIFRSとで会計処理が異なっており(これをGAAP差異と言います。),組替調整が理解しがたいのはここの考え方の違いによるところが大きいでしょう。
・さて,簡単な数値例ですが,当期にその他有価証券を売却したケースで考えていきましょう。
取得原価1,000,前期末時価1,200,売却価額1,600
上記の数値前提によれば,PL本表とCI注記は以下のようになるかと思います。
PL本表:投資有価証券売却益+600
CI注記:当期発生額+400,組替調整額△600
PL本表+600とCI注記組替調整額△600は相殺されゼロになりますので,残るのは当期発生額+400だけとなります。つまり,CI注記までみると,PL純利益計上分は組替調整されゼロとなっており,その結果その他有価証券から発生する利益はOCIにだけ計上されていることになります。(IFRS寄りの処理になっていますよね?)
さらに別の説明をするのであれば,その他有価証券から発生する利益を一旦OCIで認識し(当期発生額),その後,累計利益+600(前期発生額+200,当期発生額+400)をPLに組替えている(組替調整額→投資有価証券売却益)とも考えられます。
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